はじめに
相場には季節性があり、特定の月に特徴的な値動きを示すアノマリーが存在します。企業決算、税制変更、機関投資家の休暇など、年間スケジュールが決まった要因が市場心理に影響を与えるからです。8月は歴史的に「夏枯れ相場」と呼ばれ、株式・仮想通貨市場ともに軟調な展開になりやすい月として知られています。本記事では、8月相場の特徴を分析し、この時期に適した投資戦略を提案します。
8月相場の歴史的パフォーマンス分析
株式市場における8月アノマリー
過去20年間のS&P500指数を分析すると、8月の平均リターンは-0.73%と年間で最も低いパフォーマンスを記録しています。日経平均株価でも同様の傾向が見られ、8月に上昇する確率は42%にとどまります。
主要指数8月パフォーマンス(2004-2024年平均)
- S&P500:-0.73%
- 日経平均:-1.12%
- NASDAQ:-0.89%
- ダウ平均:-0.45%
仮想通貨市場の8月動向
ビットコイン(BTC)の8月パフォーマンスを過去10年で検証すると、平均リターンは-3.2%となっています。2017年を除く9年間で6回の下落を記録し、特に2018年8月は-15.3%の大幅下落となりました。アルトコイン市場ではさらに下落が顕著で、イーサリアム(ETH)は8月平均-4.8%のリターンとなっています。下落率が大きなアルトコインの取引は特に気をつけたいですね。ただし、逆に言えばショートで利益を得やすい月だとも言えます。
夏枯れ相場が発生する理由
1. 機関投資家の夏季休暇
欧米の機関投資家が夏季休暇を取る時期と重なり、市場流動性が大幅に低下します。ゴールドマン・サックスの調査によると、8月の日次売買代金は年間平均の約75%まで減少するとされています。
2. 企業決算の空白期間
多くの企業が7月末で第2四半期決算を発表し終え、次の材料となる第3四半期業績発表まで約2ヶ月の空白期間が生じます。この間、株価を押し上げる新たな材料が乏しくなります。
3. 税制上の要因
個人投資家の多くが年初からの含み益に対する税金対策として、8月に一部利確を行う傾向があります。特に仮想通貨市場では、この動きが顕著に現れやすい傾向にあります。
2025年8月の相場展望
現在の市場環境
2025年7月末時点で、主要株価指数は年初来高値圏で推移しています。日経平均は42,000円付近、S&P500は6,300ポイント近辺と、両市場ともに堅調な展開を維持しています。仮想通貨市場でもビットコインが一時12万ドルを突破し、多くのアルトコインも急騰しています。
リスク要因の分析
しかし、8月に向けて以下のリスク要因が浮上しています:
- 米国インフレ指標の動向:8月中旬発表のCPI次第では、FRBの金融政策見通しに変化が生じる可能性があります。(利下げ観測が遠のくかもしれません)
- 中国経済指標の悪化:製造業PMIが50を下回り続けており、世界経済への影響が懸念されています。
- 仮想通貨ETF資金流出:機関投資家の夏季休暇に伴い、ETF経由の資金流入が鈍化する可能性が高いです。
実践的な8月投資戦略
投資戦略
7月の上昇相場で含み益が蓄積している投資家は、8月上旬での部分利確を推奨します。特に信用取引や先物取引でロングポジションを保有している場合は、リスク管理の観点から40-50%(場合によっては全て)の利確が望ましいと考えております。そこから9月まで待ち夏枯れ相場で暴落しきったら買いなおしていく戦略が良いと考えます。
まとめ
8月相場は歴史的に軟調な展開となりやすく、2025年も同様のパターンが予想されるます。7月の上昇で得た利益を部分的に確定し、秋口の押し目買い機会に備えることが賢明な戦略と言えるでしょう。私自身も7月から株の利確を進めており、仮想通貨含め8月に利確を完了させる予定です。
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、特定の投資を推奨するものではありません。投資判断は自己責任で行ってください。過去の実績は将来の成果を保証するものではありません。
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